恋はドーナツの穴のように (ディアプラス文庫)

著者 :
  • 新書館 (2013年11月9日発売)
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本棚登録 : 299
感想 : 24
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ドーナツの穴は果たしてただの空白なのか、それとも存在するものなのか??
「無」ではないな…と思う今日この頃。
ドーナツ屋チェーン店のバイト高校生と雇われ店長との、甘酸っぱい年の差ラブです。ごくごくありふれた恋物語だけど、高校生の凜生に並外れた特技が備わっているところが、砂原センセらしかったです。

凜生は外見は今どきの高校生なんですが、趣味が超難度の「鉛筆削り」だったり、母親に優しくなれないことに悩んだりしていて、意外に内向的。大人っぽく見えていても素顔は真面目でかわいいところもあって、カッコいいようでまだまだ発展途上なギャップにキュンとさせられます。
第一印象で使えなさそうだと思った凜生をうっかり雇ってしまった店長の倉林。彼もなぜ都会での生活をやめて「夢も希望もない」ドーナツ屋の店長をやっているのか、そこが分かってくるとやるせない気持ちにさせられると同時に急に色気を感じてしまいました。
そんな倉林に凜生がかかわることで微妙に変化が生じてくるのですが、自分の年齢や相手が高校生というこだわりで、簡単には相手の好意にこたえられません。どうせすぐダメになると後ろ向きで臆病な倉林の気持ちがすごくリアルに伝わってきます。それもこれも園田。許せないですね。凜生のおかげで少し溜飲が下がりましたが。

凜生は倉林の素直になれない気持ちにも敏感で、好きという想いをまっすぐ届けていて、そんな彼だからこそ振り向かせることができたんだなと思わせます。
倉林はネガティブに考えていたみたいですが、イチャコラしている二人の未来しか思い浮かばないのは確定です。
なんてことないストーリーなのに読んでいるうちにどんどん引き込まれるのは、ただのほんわかラブじゃなくて、恋愛の苦しさや痛みもしっかり描ききってあるからなんですよね。
とてもいい話でした!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 砂原糖子
感想投稿日 : 2013年11月13日
読了日 : 2013年11月13日
本棚登録日 : 2013年11月13日

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