万年筆とチョコレート (ショコラ文庫)

著者 :
  • 心交社 (2011年9月10日発売)
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本棚登録 : 84
感想 : 13
3

高校3年生の知春は家政夫として四方家で働くことになりますが、条件として出されたのは主人である四方に姿を見せないこと。
知春は仕事熱心で17歳なのに気の利く優秀な家政夫です。でも、主人である四方は27歳で若くして地位も名誉も財力もありながら、人付き合いが苦手で不器用。思い込みが激しくて頑固だったりするので、家政夫が男の子だったらいくら優秀でも雇わないだろうと気を利かせた執事の奥野の計らいで、知春は「姿の見えない小人」として働くことになります。
初っ端から突っ込みどころ満載で、先もそこそこ読めてしまうのですが、設定としては好物です。

知春を女性だと思っていた四方に正体がバレたにもかかわらず、成り行きでパーティーに女装で同伴することになってしまいます。こういう場面は不自然で現実離れしていても、シンデレラちっくでときめくので、読んでいても楽しめました。
その後もこの二人は何故か(理由はあるんだけど)知春の女装姿でのデートを重ねていって、そのデートもごく庶民的で楽しそうで、二人の気持の距離もどんどん接近していきます。
でも、さすがに27歳ステイタスのある大人の四方は、我に返ってしまうわけです。恋人じゃないし、女性でもないし、ましてや相手は高校生。イケナイことをしている理性が働いたんでしょうか。

ここで当て馬キャラの神宮寺が、とてもイイ絡み方をしてくれます。彼が何のてらいもなく男の子である知春にアプローチしていったのが発端で、四方も自分の気持に正直になっていきます。
知春は四方とのデートシーンでもよかったし、神宮寺とのデートシーンでもかわいくてよかった。

ただ、ベッドシーンに少し違和感。四方には同性との経験があったというのが引っかかりました。あったのなら、キスの時当たったくらいで嫌悪感まるだしにすることなかったんじゃないかと。
絡みはきちんと最後まで生々しいのがあって、年の差とか知春が17で初めてとか考えたりすると、ヤバい感じが頭から離れず…ストーリーのかわいさからかけ離れていたような。じゃれあうだけでもこの二人なら萌えたと思うのですが。途中から攻め視点だったのも萌え辛かった一因です。

朝帰りのところは奥野とのきまずいやりとりに甘々なムードが出ていて、ここの描写は好き。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 如月静
感想投稿日 : 2011年11月29日
読了日 : 2011年11月29日
本棚登録日 : 2011年11月29日

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