既読ですが書き下ろし付だったので新装版を購入。何度も読み返してるのに、また最後までじっくり読んでしまった…
一見ハードな正統派任侠のようでありながら、そこにダークで官能的な愛がプラスされていて、独特の持ち味があります。
読んでると、なんだか脳みそ痺れるかんじ。
日本画を専攻するごく普通の大学生だった凪斗は、突然命を狙われた瞬間から人生が一変してしまいます。亡き母親が「凪斗」と名づけ、平穏な人生を歩むように願い戒めたにもかかわらず、角能という男が現れたことで、彼は岐柳組四代目候補としての生き方を余儀なくされます。
最も嫌悪していた道を強制的に歩かされることになった凪斗が、あたかも蛇が脱皮するようにウブなお子ちゃまから魔性の極道に変化していくのが感動的。その一番の要因は角能への愛であるのが純情でせつなくて泣けます。そして、およそ組を支えていけるような器でもない一回りも年下の凪斗に、角能もまた魅入られて溺れていくのがエロかった。
かなりの主従萌えでした。不遜な印象の角能が凪斗の前に跪くとこ(縛ったテープはずすためなんだけど)とか、守るために自分の体を張って凶弾を受けてしまうところとか。ベタだけど萌えポイント。
子供じゃないのにおんぶされてしまって、しかも感じるというのもプレイちっくでエロス。
そして、なんといっても凪斗が刺青を入れるシーン。角能が「俺がおまえのために用意した絵を、この肌に入れさせてくれ」と言いくるめる場面から扇情的で痺れた。
極めつけは、匕首片手に覚醒した受の「俺に角能さんをください」プロポーズ。漢らしく成長した受とこれまた漢らしい姐さんに、はげしく萌え。
書き下ろしは、心にズキンとくるシビアな話。もうカタギじゃないんだよ、という自覚と諦念かな。そこはもう「俺が受け止めてやる」と豪語する角能に、全て忘れちゃうくらいどうにかしてもらうのが正解みたいです。
- 感想投稿日 : 2011年11月14日
- 読了日 : 2011年11月14日
- 本棚登録日 : 2011年11月14日
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