ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを (ハヤカワ文庫 SF 464)

  • 早川書房 (1982年2月1日発売)
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感想 : 66
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読んでいて、どうすればいいのかわからなくなって、馬鹿みたいにぼろぼろぼろぼろ泣いてしまった。
ヴォネガットの作品はこれが初読だが、読む前からからそうなる予感はしていた。きっと泣いてしまうし、きっと辛いだろうと。その通りだった。

「カート・ヴォネガット・ジュニアの『ローズウォーターさん~』は、この作家が世界に宛てた、一番新しい、一冊の怒りのラブ・レターである」(ジュディス・メディル)

怒りのラブ・レター。まさしく。
これは愛についての物語である。そして金についての物語である。
一人の男が限りない愛と、限りなく限りないくらいの金を、その身に背負って、生きる話である。

誰を救えばいいのか、という話ではない。
何を変えればいいのか、という話でもない。
世界はあるがままに。そして人間もありのままに。
みじめな人生に電話での話し相手と、わずかなお金を。
何も変わらない世界に小さなユーモアを。
そして、新しい命へ「ようこそ」と。

そうそう、あとはこれ。
「なんてったって、親切でなきゃいけないよ」。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 誰かのためじゃない
感想投稿日 : 2012年5月6日
読了日 : 2012年4月30日
本棚登録日 : 2012年4月30日

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