全七編の短編で構成されるお話。
全篇を通して主人公は成雄という少年であり、登場人物も変わらない。
しかし、パラレルワールド的な作りになっており、それぞれの話で主人公・成雄の立ち位置や他の人物との関係性はがらりとかわってくる。
どのお話でも、成雄は一貫して「速さ」を求めて行動する。
走って走って走って。遂には音速に到達する。
そうして手に入れた速さで成雄は何を得たのか。
終始荒唐無稽な世界観が展開されており、なんだこりゃと思う間もなく、主人公は次の行動に移っている。
それはそれで面白いんだけど、七編にわけるんじゃなくて、やっぱり長編で読みたいなと思った。
章が変わるたびに主人公の立場が変わるため、成長がわかりづらくなって全体の濃度が薄くなってしまっている。何よりテンポが悪くなっている。
全篇通して主題のブレはないけれど、伝わりにくいと感じた。
同じ舞城作品の成雄シリーズの「山ん中の獅見朋成雄」、「獣の樹」と比べる、とちょっと物足りないなあ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2012年7月31日
- 読了日 : 2012年7月31日
- 本棚登録日 : 2012年7月14日
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