元職場である販社のショールームで、
この本を譲り受けました。
宗一郎さんの事は在職中に色々な事を聞きました。
本社の階段にはセナとマクラーレン・ホンダのレーシングカーの絵画も飾られていた。
退社した年は丁度ホンダがF1から撤退する年(平成5年)で自分自身ホンダブランドに夢も見出せなくなっていたと思う。
この本は時間が無くて飛び飛びで読んだけれど、
それでも2度ほど泣いてしまった。
それは開け好かない「本田宗一郎」という人の、
正直な生き様を読んでしまったからだと思う。
まだホンダという会社に宗一郎が在籍したいた頃、
会議室のドアに自筆で「鶏を殺すな!」と模造紙の貼り紙をしてあったそうで、それは宗一郎からすると、
「鶏は鳥であっても飛べない弱い存在であり、
追い掛けられると逃げ惑うしか能がない。
そんな鶏は自社でいう所の昨日入社したばかりの若僧達だ。
鶏は卵を産み人様に栄養を補給する大事な役目がある。
その鶏を殺しておいて自社に繁栄などありはしない。
だから、若僧達の意見を現実的じゃないとか、
出来もしないとか、そういう幹部の意見で押し潰さないでくれ!」
という宗一郎さんなりの想いがあった。
私はホンダ在職中にそう聞いた。
「楯つかないヤツは可笑しい。
何でも言うことを聞かれてると会社が可笑しくなる。
第一に人の言うことでは動かないという強い個性を持っているという事。
そういう個性ある人を生かしてこそ、会社が成り立つ」
これは新鮮な組織作りに欠かせない事だし、
この本にも載っていた。
本当に宗一郎さんらしい経営理念だったと思う。
しかし、宗一郎さんの「黒歴史」も面白かった。
勲一等瑞宝章を受章した際には、
「ツナギ」姿で皇居に出向きたいと言って周囲を困らせていた。
側近が「オヤジ、今まで誰も燕尾服以外で受章の望んだ者はいません!」と言うと、
宗一郎さんは「どうしてだ?!技術屋の正装はツナギだろ?」と答えたそう。
他にも通産省殴り込み事件というのもある。
この人には肩書や役所も通用しない。
反逆者こそ新しいモノを生み出せる力があると信じていた。
どの裏伝説も宗一郎さんらしい一幕で楽しかった。
本人は「俺は生涯技術屋だ!」と言い張って、
社長や会長と呼ばれるのを嫌い、
社員や親しい仲間に「オヤジ」と呼ばれるのを好んだ。
社員を本気で打ん殴り「しまった!悪いことをしたな」
と思ったら社員を芸者遊びに誘い出す。
そして
「会社の大きさや知名度があるからといって、
自分が大きい訳ではなく、ましてや人間の良さとは、
全く無縁である。
人間の良さに関係あるのは、
ただ製品の質だけである。」
これが技術屋 本田宗一郎が本当に言いたい事だったと思う。
大きな組織とは末端に行けば行くほど、
TOPとの意思疎通が困難になる。
メーカーであっても販社であっても、
宗一郎が何故「本田技術研究所」「本田技研工業」
という名に拘ったのか、
今はホンダを離れてしまった私にも、
この本を読むと「Power of Dreams」の謎が少しだけ解る。
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- 感想投稿日 : 2016年4月14日
- 読了日 : 2016年4月14日
- 本棚登録日 : 2016年4月14日
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