-
アンネの日記 完全版
- アンネ・フランク
- 文藝春秋 / 1994年4月1日発売
- Amazon.co.jp / 本
- 購入する
私が彼女と同い年くらいのころから
何度となく挑戦し
あるときは少女の驕りに嫌気がさし
又あるときは ペーターとのくだりだけをつまみ読みし
結局はいつも途中で投げ出していた本ですが
このたび、やっと最後まで読むことができました。
13歳から15歳の間に描かれた赤裸々な少女の日記を
今の私の年代の人間が読むとどう感じるか。
おそらく、母の側から大人目線で字を辿るのではないかと思っていましたが
予想に反し意外なことには 読んでいる間、
完全に自分はアンネの世界から物事を見ていました。
大人のこんなところが許せない といった感情や
自己嫌悪とプライドや虚栄心がないまぜになったごちゃごちゃの思春期の心理状態などを
リアルに思い出していました。
そうしてやはり彼女の
もしくはもっと普遍的には 人間の といったほうが良いのかもしれませんが
その しなやかな強さに
ただただ感嘆するばかりでした。
もちろん 少女だからこそもつみずみずしい感性や
年齢を超えた理性や洞察力にも。
隠れ家生活がどんなにストレスフルで苛酷か
ユダヤ人がどれほど悲惨な思いをしていたか
戦争の異常さ それを受け入れた時代の民間人の反応
日々の日記から時間をなぞることで
より実感できたような気がします。
生きている間にこの本を読め
彼女とあうことができてよかったです。
アンネの希望は将来作家かジャーナリストとなって
人々の心の中で生き続けること と書かれていました。
その願いがかなって、世界中の多くの人の心の中で
彼女が生き続けていることは
悲しい結末だった彼女の人生を思うとき
大きな慰めとなります。
素晴らしい書とは年代、境遇 すべてを超えて
いつの時代にも訴え続ける力があると感じました。
2012年9月13日
2012年4月16日