闇の左手 (ハヤカワ文庫 SF 252)

  • 早川書房 (1978年9月1日発売)
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本棚登録 : 1778
感想 : 177
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 思いつきで借りるにしてはボリュームのある本でした。ゲド戦記は読み始めたら大変だろうと思ってこっちにしたのですが……こっちもなかなか。

 技術とか科学とかサイエンスな方向のSFではなくて、社会学とか、民族学とか、心理学関係の要素が強い、文系SF。刺激を受けたこと、じっくり考たいこと、読み返して堪能したい部分、要素盛りだくさんで、とても楽しかったです。こういう、いろいろ考えたくなるSFは好きー。
 男性、女性という区別がない異性側が、最初は変わった設定だなぁと思ったけれど、社会の仕組みやメンタリティへの理解が深まるにつけ、納得できてしまう。とても合理的で、皆の納得する仕組みになっているんじゃないかと思っていまう。その過程が楽しかったです。

 あと、ル・グィン名物なのかな、旅。
 到着すること自体が目的の旅なので、もう、めっちゃ消耗しながら旅をする。これが、着いた先で何かと戦わなきゃいけないような話だったら、こんなにキャラを消耗させるわけにはいかないもんなぁ。
 旅自体がとにかく過酷で、体力減らしながらの極限状態が鬼気迫っておりました。こういう状況だからこそ、さらけだせるものがある……っていうことなんだろうけど、それでも容赦ない。

 見た目に騙されちゃうのか、どうしても、私は男性と男性の……のように見えてどきどきするのですが。そういう見方はすべきじゃないんだろうなと思いつつ……やっぱりどきどきするのです。まあ、これは仕方がないこと、うん。多分。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 9 文学
感想投稿日 : 2016年9月12日
読了日 : 2016年9月12日
本棚登録日 : 2016年4月11日

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