これがニーチェだ (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (1998年5月20日発売)
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感想 : 85
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 もしも「ニーチェが愛読書です。」という人がいたら、ヤバいやつかもしれないと警戒すべきだ。ニーチェの思想自体は社会の中では、いかなる意味も持たない。どんな意味でも役に立たない。それだけではない。徹底的に反社会的な思想ですらある。にも関わらず、彼の仕事は偉大であったし、最も重要な哲学者のひとりであるということは永遠に変わらないだろう。

 彼の論理空間はどういったものであったのか。

 ニーチェの第一空間は、誠実さと嘘が対立する空間である。キリスト教道徳が誠実さというものを育て、やがて、その誠実さがキリスト教道徳の欺瞞を暴き破壊する。

第二空間では、力への意志説、パースペクティブ主義が誠実さから生成される。

第三空間では、運命愛と永遠回帰説が示される。


「神は死んだ」とは有名な言葉であるが、どういうことであろうか。それは世の中の神性全体がもはや修復不可能なほどに破壊されてしまったのではないかという誰も立てたことがなかった問いを立てたのである。神なき世界ではニヒリズムが生まれることになる。
三段階のニヒリズムが。

第一は、人格神的なキリスト教の「神」が死んだということ。
第二は、「神」が生きている。ゆえに<神>は死んでいるという根源的ニヒリズム
第三は徹底的に「神」が死んだゆえに<神>が生きかえるという徹底的なニヒリズムだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学・思想
感想投稿日 : 2012年7月17日
読了日 : 2012年7月17日
本棚登録日 : 2012年7月17日

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