レビュー by syukashizukaさん
画家、高槻倫子の生まれ変わりであると告げられたのをきっかけに、彼女の息子、秒と共に倫子の死の真相を探っていく万由子。
4人の関係者と倫子の間にある不穏な空気の原因を探っていくお話である。
恩田陸の初期作品であり、巻末のあとがきを喜志祐介が担当していたりして、その辺りも注目なのである。
「不安な童話」、題名と恩田陸らしからぬカバーデザインに惹かれて、この作品を手に取ったわけであるが、果たして舞台設定は好みだった。
倫子が描く絵、童話をモチーフにした少し毒のある冷たい印象の絵画は好きだった。万由子が訪れた倫子の遺作展における、作品描写は白眉だった。
しかし、今一つのめり込めなかった。
このような真相探求型ミステリィというのは、その真相への興味がうせ始めると弱いのである。
私は、中盤あたりでその興味が失速してしまったので、中だるみしてしまったのだ。
でも、同じようなジャンルである「黄昏の百合の骨」よりは、本作の方が好みだった。
「不安な童話」の方が前に描かれた物なのだが、トリックを含めた構成は、本作の方が上手だったように思う。
倫子が最期を過ごした場所として、海辺の別荘が出てくる。
プロローグでも描かれているが、そこでの情景描写が素敵だった。
波の音や潮の匂い、そこに残る足跡、その先に佇む倫子と手に持つ黄色い薔薇。
色彩は凄く鮮やかで、綺麗で、文字なのに凄くカラフルだった。
面白くなかったわけでも、下手だというわけでもないが、漠然とパンチが足りなかったように思う。
登録日 : 2009年08月30日 22:35:13


コメント
まだコメントはありません。