テクテクノロジ-革命: 非電化とスロ-ビジネスが未来をひらく (ゆっくりノートブック 2)

  • 大月書店 (2008年9月1日発売)
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メモった言葉

・魔術師の弟子になったフンボルトはある時、先生の留守中に覚えたての魔法をつかってほうきに水汲みをさせようとする。自分でそうじをするのが面倒くさかったのだ。働き始めたほうきはせっせと井戸から水をくみ上げる。そこで、はたとフンボルトは気がついた。かけた魔法をどうやって解くのかをまだ習っていなかったのだ。ほうきがくみ上げ続ける水で家は洪水になってしまう。‥ペースが速ければ速いほど、科学技術は魔法に似てくる。今ではもう、試行錯誤なんてのんびりしたことを言っていられない。どうやって解くのかわからない魔法をどんどんかけるようなものだ。

・人間が最後の木を伐ったとき、最後の川を汚してしまったとき、そして最後の魚を焼いてしまったとき、やっとそのとき気づくだろう、お金は食べられないということを。
・文明人はこの200年、化石燃料のおかげで、それ以前の時代に比べて自分たちが100倍もの力を持っているという考えにすっかり捕われてしまった。石油が永久に続く、富を永久に増やし続けることができるという幻想の上に、社会のすべての仕組みをつくってしまった。
・「必要は発明の母」から「発明は必要の母」という言葉に代わってしまった
・経済を大きくしていくということは、人がどんどん消費を大きくしないといけない。その消費を補って余りある収入を稼がないといけない。つまり、経済を大きくしていけばしていくほど人は忙しくなっていく

・自然を動かしているのは‥、摂理です。先住民族にとってはこの摂理が神です。科学が、この摂理を認識して、解き明かしたものを法則と呼ぶのです。けれど、けっして法則は科学者が生み出したわけではなくて、自然の摂理を、ただ人間が部分的に認識にして表現したにすぎないんです。‥今日の多くの科学者は、‥自然をどうコントロールして、自分たちの現実的な欲望に沿わせるかに焦点があたっている。
・科学は万能ではない。何が悪いかわかっていれば、それが起こっていないかいないか突きとめることは、科学の力でできるけど、何が悪いか分かっていなければ、科学は無力です。たとえば、カドミウムが人間にとって危険だとわかっていれば、食品にカドミウムが入っているかどうかを分析することは、科学の力でできますね。でも、何が悪いかわかっていないけれどこれは安全か?と問われると、科学は無力です。科学はほんの一部しか表現できない。謙虚さを失ってしまうと、科学は暴走してしまいます。

・1980年代、「課長と部長はどう違うか」と日本人100人に聞くと、100人みな「部長のほうが課長より偉い」と答えます。アメリカ人100人に聞くと、「それは役割が違うんだろう」と。日本は封建時代が長かったから、物事を身分でとらえる文化が色濃く残ってしまった。アメリカ以上に階級上昇意欲が、とてつもないエネルギーを生み出した。

・自分の倫理観にふたをかぶせているわけでしょう。科学者、技術者としての良心より、自分の家族に物質的な豊かさを保証する、ということを最優先課題にしてしまう。
・経済成長と、消費と、地球の自己浄化能力

・わかっていることをやる、できるとわかっていることをやる、というのにはある種の傲慢さを感じます。わかっていない自分というのが見えなくなっている。

・人間って目的があるから生きているというだけの存在ではないでしょ。
・強すぎる目的志向というのは自由を拘束して、新しいものが生まれなくなる懸念が強いですね。

・「なんだ、やればできることはたくさんあるんだ」ということと、ハイテクがすべてではないということ。経済成長至上主義で、都会主義で、大企業主義でなくてもきちんとできることがあって、そういうことをテーマにしていけば、地域レベルで環境と雇用を両立できる。そこに可能性がある、という希望を見つけてほしい。そしてそれを自ら手がける勇気をもってほしい。

・二酸化炭素を減らさないといけないというのはまちがってはいないんだけど、二酸化炭素を出さないことを目的にしすぎると、原発は二酸化炭素を出さないからいい、となってしまう。~もとは地球を温めないことが目的だったのに、いつのまにか二酸化炭素を減らすこと自体が目的になってしまったでしょう。

・人類はずっと、自分の欲望で人を支配するようなことを2000年もやってみた気がします。それは、ひとつには科学技術に裏打ちされた武力をもつことで、人に対する力が圧倒的に強くなって、今度はそれに経済力を付け加えていって、自分の欲望で人を支配していくようになりました。
・道具の発明があって、道具だけではいろんな困難さが克服できないから、必要が生まれてきて、次に機械が発明された。だから、それ自体がいいことか、悪いことかという評価は必要ないと思うんです。労働そのものがつらかった、生きていくこと自体が苦しかった。

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感想投稿日 : 2010年7月23日
本棚登録日 : 2010年7月23日

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