小川洋子さんのエッセイがとても好きだ。
なぜかとても心が穏やかになる。
例えば自分の失敗や周りの変化に落ち込んだり、慌てたりすることが少なくない毎日の中で、もう駄目だと見限って自分を遠ざけたくなる瞬間は訪れる。
そんな時に救いになる文章ってどんなものだろう?と考えると、それが小川洋子さんのエッセイなのではないかと思える。
すみません。こんなことを言うことでこのエッセイの価値が落ちないことを切に願います。
私にとって不思議なのは、小川さんがご自身の小説に全く自信がないことだ。
心の中の片隅に場所を見つけて、静かに、それでも確かに私を支えるように輝き続けてくれる、そんな物語なのに、なぜ?
私はあなたの小説が、エッセイが、とても好きです、好きです、と読んでいるといつの間にか自己嫌悪だとか不安だとかいった重くて冷たい感情が、さっきよりも小さくなっていることに気づく。
これが駄目だ、あれが嫌だと考えていてはいつまで経っても進む力にならない。
前を向く力はいつだって好きなことからしか得られないんだと思う。
菊池亜希子さんの解説もとても素敵。
ようこさんに宛てた心からのラブレターに私まで幸せな気持ちになる。
小川さんの返事も読みたくなってしまうけれど、それは菊池さんだけに届けられるべきだなとも思う。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2012年10月14日
- 読了日 : 2012年10月14日
- 本棚登録日 : 2012年10月14日
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