きみは赤ちゃん

著者 :
  • 文藝春秋 (2014年7月9日発売)
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本棚登録 : 1886
感想 : 282
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妊娠、出産の経験もなければ予定もないけれど、でも読んで良かったなぁと思う。
このエッセイは全力で受けとめなくてはならない類の文章で、何と言ったらいいのか、とにかくすごい。
つわり→食欲爆発→マタニティブルー→エアロビ→陣痛→出産→授乳→ぜっぺき対策→産後クライシス→離乳食→発熱→保育園→1歳の誕生日
こうしてキーワード(と勝手に思うこと)を書き出すだけでくらくらしてしまう。
私が出産や育児の本当の苦しさ、つらさを全く理解出来ていないだろうことは確実だけども、それでもこの本を読んでその恐ろしさの一端に触れた(はず)。
お母さんが流す涙にはたくさんの言葉に出来ない感情が込められていることも知った(はず)。
悲しくても泣き、悔しくても泣き、嬉しくても泣き…
その感情の振れ幅にただただ圧倒される。
どうにも精神的に弱っている時に同じように泣くしかなくなる時があるけど、それの延長線上に(もしかしたら)ありながらもそんなのとは次元の違う涙なんだろうな。

自分の問題として読むことが出来ない現状ではこの本に書かれていることの80%くらいが「怖いこと」なのだけど、一度妊娠したら(又は出産したら)、この本を読んで涙を流すようになるんだろう。
不思議とそんな確信がある。
確かめる機会があるかどうかはあやしいけれど、もしも我が身に降りかかることがあれば(この表現が不適切なのは解っているのですがつい…)絶対にもう一度この本を読んでみようと思う。

そして悩んでいるのは出産間近な友人にこの本を薦めるかどうかということ。
エッセイを読む限り予定日まであと1月以上ある今ならまだ本も読めるのかな?
これから起こるかもしれないあんなことやこんなことが、彼女を絶望させることはないだろうか?
それとも赤ちゃんへの愛が溢れる文章が彼女の希望になってくるるだろうか?
とてもとても悩んでいるのだった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年9月16日
読了日 : 2014年9月16日
本棚登録日 : 2014年9月16日

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コメント 2件

vilureefさんのコメント
2014/09/29

こんにちは。

読みましたー!(*^_^*)
面白かったですね。

そうか、出産未経験だと「怖いこと」だと受け止めるんですね、ふむふむ。
あの怒涛の時期を乗り越えてしまった今となっては地獄の寝不足も懐かしい思い出です(笑)
だから、なんというか川上さんにも同士みたいな感覚がありますね。

お友達の方にもお勧めして大丈夫なんじゃないかな。
産まれてから大変だよー、とアドバイスを受けてもイマイチ実感も持てないし、事細かに教えてくれるわけではないのでね。
ある意味覚悟できるんじゃないかな。
で、臨月を満喫する!
私なんて、ぼーっとしたままの怠惰な妊婦でした・・・。

takanatsuさんのコメント
2014/09/30

vilureefさん、コメントありがとうございます!
そしてアドバイスもありがとうございます!!
「ある意味覚悟できるんじゃないかな。
で、臨月を満喫する!」
なるほど。
自分が経験してないといろいろと心配し過ぎてしまうのですが、出来るだけ明るくいつも通りに薦めてみます!
ありがとうございます♪
「私なんて、ぼーっとしたままの怠惰な妊婦でした・・・。」
そんなことないですよ!
友人の話を聞いたり、この本を読んだり、他の本も読んだりして想像するにお母さんは産む前も産んだ後も本当に大変で頭が下がります。
お腹の中で赤ちゃんを育てていた妊婦さんが怠惰だなんてことは絶対ないと思います。
「あの怒涛の時期を乗り越えてしまった今となっては地獄の寝不足も懐かしい思い出です(笑)
だから、なんというか川上さんにも同士みたいな感覚がありますね。」
お母さんの強さここにあり!ですね。
同士みたいな感覚というもの何やら格好いいです♪
それにしても「地獄の寝不足」とは…。
その辺もっとどうにかならないものなのでしょうか?

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