磁極反転の日 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2017年3月29日発売)
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本棚登録 : 105
感想 : 13

このところ地球科学に興味がわいており、たまたま新潮文庫の新刊にこのタイトルを見つけて手にした。著者の経歴にも興味をもち少し悩んだ末、購入した。5日間ほどで読了。次々と近未来に起こりそうな話題が提供され、読んでいる間は小説の中の話と実際に起こったことが混乱していた。先日の新聞には1200年ころに日本で見えた赤いオーロラの話が出ていた。4月に入ってもなかなか晴れず、気温も上がらずで、これは宇宙線のなせる業かと思うほどであった。さて、話のもって行き方はマイクル・クライトンをほうふつさせるのだが、何か物足りなさを感じる。途中からスピード感がなくなって来る。何なのか、何が違うのか、と考えてみた。結論は、人が死なないということだった。ここではそれほど重要でない人物が2人死んだだけだった。一方のクライトンの小説は、重要な登場人物が次々と死んでいく。何人殺すのかというくらい。だから面白いというのではないが、最後までハラハラドキドキ、スピード感が衰えない。が、本書も、素材がいい分、うまく映画に仕上げると面白いものができるかもしれない。ラストフェイズで電車の中でスマホでなく文庫本をひらいている人が多いという件がある。きっと著者自身の想いと私の想いが重なるところでもあるのだろうと感じた。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2017年4月13日
本棚登録日 : 2017年4月13日

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