考えないヒト - ケータイ依存で退化した日本人 (中公新書 (1805))

著者 :
  • 中央公論新社 (2005年7月26日発売)
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感想 : 37

「考えるヒト」というタイトルの本があった。養老孟司だ。その本も非常に興味深く読んだ。それを意識したタイトルかどうか知らないけど、正高さんの最近の考えをまとめた本が出た。ただし私にとっては知っている話が多くそんなに面白いわけではなかった。その中では「言語遺伝子」の発見の話が新しい。生まれながら話ができない家系がある。その家族の遺伝子を調べてみると異常が見つかった。そこから、現在のようなことばが使えるようになる遺伝子があるということがわかってきた。それを調べていくとだいたい10万年前くらいからことばが使えるようになったのではないかと考えられているらしい。いろんなことがわかるものだ。さて著者は、ケータイメールなどの使用例を参考にしながら、今の特に日本人、あるいは東アジアの人間は、サルに近づいていっていると考えている。人間が人間らしく生きるために、便利な世の中にしようと次々に開発されるIT機器のおかげで、かえって人間らしさをなくしてきていると考える。もともとサルの研究者であるからこそ気づいたことなのかもしれない。ケータイメールでコミュニケーションはばっちりなんて考えているヒト、要注意ですよ。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 正高信男
感想投稿日 : 2015年5月28日
本棚登録日 : 2015年5月28日

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