何故だか毎年購入している宝島社「このミステリーがすご
い!」、愛称「このミス」の2018年度版で、国内作品1位
を獲得した新人作家作品。作者の今村昌弘はこの作品で
このミス1位だけでなく、第27回鮎川哲也賞・週刊文春ミ
ステリーベスト第1位を受賞。いわゆる三冠王である。
・・・と言いながら、実はそれほど期待せずに読み始めた。
というのも、歴代のこのミス1位作品はおおよそ読んでい
るのだけど、ハマるモノとそうでないモノの落差が激し
かった所為。まぁ、面白かったら儲けもの、という感覚
にて。
いわゆるネタバレがあると致命傷になる作品なので詳し
い説明は敢えて省くが、ざっくり言うと「本格的な密室
ミステリと超B級ホラーの融合」。ちょっと間違えると
とんでもない内容になりそうな、非常に危険なコラボレ
ーションなのだが・・・。
その部分はなかなか見事にまとまっている。ミステリー
好きには邪魔になりそうなホラー要素が、邪魔どころか
事件を展開させる重要なアイテムと化しているのだから、
構成力・筆力はかなりのレベル。しかし・・・。
・・・結果として「つまらなくは無い」(^^;)。
いや、どちらかと言えばかなり面白い内容だとは思うの
だけど、肝心の「密室」の設定がちょっと解り辛いのが
難点。綾辻行人作品のように、最初にしっかりした現場
の見取り図こそ付いているが、何かが起こる度にアレを
見返すのは非常に辛い。これは作者の所為では無く、単
にKindle版を選んでしまった僕のミステイク。通常の書
籍だったら、こういう感想では無かったかもしれない。
しかし、重要と思われる登場人物があっさり死んだり、
思いもよらないトリックで実行される殺人など、評価す
べき部分も多々。特にクライマックスの盛り上がりは尋
常では無く、後半になればなるほど読む手が止まらない。
今村昌弘、今後が非常に楽しみ。
ちなみにこのミス2018の中には、他にもちょっと興味
のある作品が。やっぱり便利なんだよなぁ、あのムック
って・・・。
- 感想投稿日 : 2018年1月3日
- 読了日 : 2018年1月2日
- 本棚登録日 : 2018年1月3日
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