リバース

著者 :
  • 講談社
3.80
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本棚登録 : 4821
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062194860

作品紹介・あらすじ

深瀬和久は、事務機会社に勤めるしがないサラリーマン。今までの人生でも、取り立てて目立つこともなく、平凡を絵に描いたような男だ。趣味と呼べるようなことはそう多くはなく、敢えていうのであればコーヒーを飲むこと。そんな深瀬が、今、唯一落ち着ける場所がある。それは〈クローバー・コーヒー〉というコーヒー豆専門店だ。豆を売っている横で、実際にコーヒーを飲むことも出来る。深瀬は毎日のようにここに来ている。ある日、深瀬がいつも座る席に、見知らぬ女性が座っていた。彼女は、近所のパン屋で働く越智美穂子という女性だった。その後もしばしばここで会い、やがて二人は付き合うことになる。そろそろ関係を深めようと思っていた矢先、二人の関係に大きな亀裂が入ってしまう。美穂子に『深瀬和久は人殺しだ』という告発文が入った手紙が送りつけられたのだ。だれが、なんのために――。
深瀬はついに、自分の心に閉じ込めていた、ある出来事を美穂子に話し始める。全てを聞いた美穂子は、深瀬のもとを去ってしまう。そして同様の告発文が、ある出来事を共有していた大学時代のゼミ仲間にも送りつけられていたことが発覚する。”あの件”を誰かが蒸し返そうとしているのか。真相を探るべく、深瀬は動き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 唯一、コーヒーを淹れる事だけが得意な、平凡なサラリーマン・深瀬和久は、自宅近くにある「クローバー・コーヒー」に通う事がただ一つの楽しみだった。
    その店に来るようになった、越智美穂子との出会いで、つまらない日々が、華やかな日々に変わっていった。

    ある日、美穂子が、一通の封書を携えてきた。
    その中に書かれていた一言で、ある過去の出来事を思い出す。

    結末は結構早いうちにわかったが、その先は、想像もつかなかった。

    深瀬の陰気さ、自信のなさに、途中、閉口気味だったが、何故か、一気読みしてしまった。

  • Instagramの湊かなえランキング上位だったので、気になり読みました。

    「深瀬和久は人殺しだ」の一文で物語は始まります。
    大学のゼミの仲間で行った旅行中に起きた事故で主人公の親友は亡くなる。
    親友は本当に事故で亡くなったのか、「人殺し」の告発文の送り主は誰なのか。
    主人公は真相を解明するために、亡くなった親友の故郷である愛媛へ向かう。

    といったあらすじです。

    今までに読んだ湊かなえさんの作品の中でもトップレベルに面白かったです。

    特に最後の2ページと最後の1行のインパクトは最近読んだ小説の中でも一番でした。

    家族、親友のことを知っているつもりでも、実は知らないことの方が多いのかもしれない。家族、親友と会って、色々と話したくなりました。

  • こちらは単行本です。
    感想は文庫本に記してあります。
    お手数ですが、どうぞ私の本棚へお越し頂き、文庫本の方を開いてリバースの
    レビューをご覧頂ければ幸いです。
    「リバース」は私の好きな本なので
    ★是非、お願いいたします★

  • 自分としてはかなり稀なことですが、ドラマを見てさらに本でも読んだ一冊でした。

    リアルタイムでドラマを見ていて、翌週の放送が待ちきれなくて本を買おうか迷いましたが買わなくて良かったです笑

    とにかく、コーヒーが飲みたくなる本。

    コーヒーを飲みながらの読書は最高です(^^)

  • 驚きで中盤とラストで、思わず2度声が出ました。主人公が自身の記憶と被害者の足跡を辿り、真実を求めていくストーリー。おもしろかった。

  • 深瀬和久は平凡なサラリーマン。唯一の趣味は、美味しいコーヒーを淹れる事だ。そんな深瀬が自宅以外でリラックスできる場所といえば、自宅近所にあるクローバーコーヒーだった。
    ある日、深瀬はそこで、越智美穂子という女性と出会う。その後何度か店で会ううちに、付き合うようになる。
    淡々とした日々が急に華やぎはじめ、未来のことも考え始めた矢先、美穂子にある告発文が届く。そこには「深瀬和久は人殺しだ」と書かれていた――。何のことかと詰め寄る美穂子。深瀬には、人には隠していたある”闇”があった。それをついに明かさねばならない時が来てしまったのかと、懊悩する。 『夜行観覧車』、『Nのために』のスタッフが結集し、『リバース』も2017年4月、ドラマ化!
    主人公の深瀬和久には藤原竜也さん。 恋人役には戸田恵梨香さん。 深瀬の親友、広沢由樹には小池徹平さん。 深瀬の大学時代のゼミ仲間には市原隼人さん、玉森裕太さん、三浦貴大さん。 そしてドラマだけの登場人物、村井の妹には門脇麦さん。 今をときめく役者陣がおくる、ヒューマンミステリーです。
    湊かなえというと一人称のキャラクターの声を交錯させていくのが十八番ですが、今回は三人称でそれぞれの思っている真実が交錯するので、余計に真相に到るまで読む者の予想を覆される語り口が巧みです。
    自分を透明な人間で勉強が出来ることとコーヒーを上手く入れられることだけが自慢だが自己評価が低い深瀬や深瀬と恋仲になる越智美穂子などのキャラクターの内面、学校での中心グループと地味めなグループの無意識に将来の夢を持っているかどうか失うものがあるかどうか差別している闇の部分、高校時代の親友古川から絶交され落ち込んだことや彼女との関係など器の大きい広沢の隠された秘密が、広沢が何故深瀬たちと蕎麦屋に行かずカレー屋に行ったか?広沢が何故事故死したのか?広沢が事故死した責任を糾弾する告発文を深瀬たちに送りつけた犯人が誰なのかを深瀬が謎解きしていく展開の中で浮き彫りになっていくストーリー、自己評価の低い深瀬が広沢は自分を親友と思ってくれていたのか友情の再確認するドラマとしても面白く、細かい伏線が1つになり明かされる意外で読む者をドン底に突き落とす恐ろしい真相がぐいぐい惹きつけられます。

  • 湊さんの物語は、主人公が何人かいる(語り手がかわる)イメージだったから、同じ罪を犯しているのは4人なのに、今回は深瀬の一視点のみだということが始めから新鮮だった。その深瀬は、深く後悔はしながらも、その4人の中で自分だけは罪がないと思っている。
    全体を通して奇想天外な展開で繰り広げられたうえに、最後の2ページでその構成の意味が明かされ、愕然とするとにかくやめられないストーリー。

    深瀬の必要以上に自分を卑下する姿にイラッとしながらも、その気持ちは少し分からなくもないとも思う。
    ストーリーも心情表現も巧みな一冊でした。

  • 最後の2ページで、うわーうわーうわーと脳内で叫んでしまった!
    コンプレックスまみれの深瀬にできた大事な親友。友達に選んでもらうことのない人生。パッとしない自分にできた似たような親友…と思っていたのは自分ばかりで、その親友は自分には勿体ない魅力的な人だった。親友を失い、初めての彼女を失い、信じていたものが幻想だったことに気づき、絶望からの再構築。
    感動した。起承転結が完璧!…からの転!!え?転!?
    起承転結転…という話だった。
    あまりに起承転結の素晴らしい話だっただけに、最後の転で唸るしかない感じ。

    こういうの好きだ!

  • リバースこの題名を訳すと
    逆再生や、飲食したものを吐くこと。嘔吐すること。
    最後に全て繋がります。
     
    事務機器商社に勤める少し冴えない主人公の彼女のもとに告発文が届く。『深瀬和久は人殺しだ。』冒頭からこう始まる。

    唯一の親友である広沢の事故死から、贖罪を果たすかの様に、リバース(逆再生)し、生きた頃の広沢の軌跡を辿る。愛媛の広沢の実家で蕎麦をご馳走になる。もしかしたら両親はわざと蕎麦を深瀬に振舞ったのか?!偶然か?!全て知っていたのか?!

     蜂蜜入りのコーヒーを飲みながら、懐かしい学生の頃の友情を想い出したくなった。

  • 深瀬和久は事務機会社に勤めるサラリーマン。
    今迄の人生でも取り立てて目立つ事もなく、平凡を絵に描いたような男だ。
    趣味らしいことといえば、コーヒーを飲む事だった。
    アパート近くの〈クローバー・コーヒー〉というコーヒー豆専門店が、
    深瀬の行きつけのお店で、唯一リラックス出来る場所だ。
    そこで、知り合った起智美穂子という彼女も出来た。
    そろそろ関係を深めようと思っていた矢先
    謎の発発文が彼女に送り付けられた。
    そこにはたった一行『深瀬和久は人殺しだ』と書かれていた。
    深瀬を問い詰める美穂子。
    ついに〝あのこと〟を話す時が来てしまったのかーー。


    同様の告発文が、ある出来事を共有していた
    大学のゼミ仲間にも送り付けられていた。
    誰が、何のために告発文を送り付けたのか?
    あの忌むべき事件を蒸し返そうとしているのか?
    真相を探るべく、深瀬は動き出す。
    人生初の親友・広沢由樹
    どんな人生を送って来たのか、遡っていきたい。
    しかし、長い線の上に点でのみ存在しているようなものだと気付く…。
    親友のはずなのにあまりにも知らない事に気付く…。
    過去から現在までの人間関係を調べていく。
    そこで知る事となる自分から見ていた広沢と、
    他人から見えていた広沢の姿の違い。
    あおいと古川の言葉は凄かったなぁ…。

    広沢と親友だと思っていたのは自分だけではないかと、落ち込んでいた
    深沢だが、一方通行ではなく広沢からも特別だと思われていた。
    一度は自分の元から去っていた美穂子とも歩み寄れて、理解し合う事が出来
    少し温かくて優しい気持ちに包み込まれていた…その時、
    地獄へと突き落とされるラスト。
    ゾワッてしました。

    湊さんの作品は女性が主人公で女性目線で進行していくのですが、
    本作は、自分は常に脇役だと自覚している。
    卑屈で、劣等感の塊のような深瀬。
    そうだよね~男性の友情や立場も女性同様色々あるんだなぁって。
    繊細で優しい深瀬なのだと思いますが、同性でないせいか
    少しもどかしかったです。

    友人の死を秘密に持つ4人それぞれ異なる良心の呵責や自己保身
    人としての劣等感・欺瞞・嫉妬心・優しさ・気遣い・思いやり・心の広さ
    色んな心情描写をとっても繊細に繊細に描いていました。

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著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

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