この絵本はシャガールの幾つもの絵に対して、文章を作り合わせてストーリー付けをしたものです。とは言っても、見開きの右ページに一枚の絵を、左ページに文章を載せたものなので、ストーリーとしては大変短いです。緑色の顔のバイオリン弾きが街にやってきた……とか、首が伸びちゃった……とか。絵の一部が切り貼りして文章の隙間に散りばめられていて、華やかな感じになってます。
小学館あーとぶっくシリーズでは、シャガールの他にもゴーギャンやマティス、モネなどいろいろな画家の絵画を絵本化したものがあります。
それで。シャガールの絵が一番ファンタジックで絵本らしくなるかな、と思っていたのですが、ページをめくるごとに(絵が変わるごとに)ストーリーが切れているので、ページを開いていく楽しみが大きく減ってしまっています。そして、絵画は絵の大きさ、絵の具の質、混ざり方、作り方、光の散乱・反射、画家の思いなどが一体となっているものですが、それが非常に伝わってこないんです。それは画集でも同じなのですが、画集では本物を見た上で、という前提があります。
本物の名画は、もっともっと生きいきとしています。シャガールの青はもっともっと深みをもっています。額縁だって表情豊か。絵本を足掛かりとして、いつか名画と出会うようになってくれたら、素敵ですね。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
絵本
- 感想投稿日 : 2015年5月10日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2014年9月24日
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