山椒魚戦争 (岩波文庫 赤 774-1)

  • 岩波書店 (1978年7月17日発売)
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感想 : 52
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カレル・チャペックの1936年の作品。
岩波文庫なんだからもっと早く読めよという感じですが。チャペックなので面白いのは当然。この時代とすれば、共産主義や全体主義への批判ということもあるのだろうけど、やはり、人間が自分の作り上げた仕組みに滅ぼされていくという警告小説のような印象。記述様式の展開手法が「物語の動き」をつきはなした感じに見受けられるせいもあるのあろうけど。で、こんな一文もあり。『これが戦争と言えるなら、まことに奇妙な戦争だった。宣戦布告をしようにも、その対象になる山椒魚国家はもちろん、承認された山椒魚政府はどこにもなかったからである。』なんか、現代?それだけではなく、今もだなぁと思うのは、この時代から枠とか思考が変わってないのか、このへんで土台が出来上がったまま今になっているからか。そして、この時代の欧州地域の小説に一応極東の「日本」が国際会議に登場していること、そして、日本の海運会社(大阪商船:現在商船三井)の名前も登場することという点に、あ、この時代にも日本は存在感それなりにあったのね、と思う。しかし、自宅にいると集中して読書できないということで、外出しないといけないというのも無駄な金使うよなーと思うが、時間を無駄にするよりはいいのかということで。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: カレル・チャペック
感想投稿日 : 2007年5月23日
本棚登録日 : 2007年5月23日

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