特捜部Q ―檻の中の女― 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 エ 7-1)

  • 早川書房 (2012年10月5日発売)
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本棚登録 : 1161
感想 : 139
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ミレニアム以来ハヤカワの翻訳に興味を持っている。本書は私のハヤカワ文庫への期待をまた増す作品となった。

デンマークが舞台の警察小説である。
ある事件で部下一人を亡くし、もう一人の部下は半身不随、自らも怪我を負った刑事カールは、新部署『特捜部Q』のボスとなる。
特捜部Qでは、過去の未解決事件の捜査が任務であるが、捜査員はカールひとり。そこに遣わされたアシスタントは、アサドという一風変わったアラブ系の男であった。
特捜部Qの着手する、自殺として扱われた女性政治家の失踪事件と、カールのなかなか大変な日常、アサドの奇行、カールの情熱を奪った事件、それらが巧みに混ぜ合わされ、物語を引っ張っていく。

初老を過ぎて女性との妄想に忙しいベテラン刑事と素性不明の女好き(こいつもだ)アラブ男…また意外な組み合わせを持ってきたものだ。カールはあまり好きなキャラクタではないのだが、謎めいたアサドの行動がおもしろおかしい。
名前くらいしか知らない北欧デンマークの文化を垣間見れるのも楽しい。デンマークは同性婚ができるのだね…。

檻の中のミレーデが、本作品の中で一番強い人間であったことは間違いない。正気を失わなかったことが、犯人への最大の抵抗ではないだろうか。恋愛さえ自分に禁じて生きてきたミレーデの最後のシーンにはぐっときた。

続刊も追っていきたい。文庫化はよ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2012年12月18日
読了日 : 2012年12月18日
本棚登録日 : 2012年12月17日

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