スタインウェイができるまで―あるピアノの伝記

  • 青土社 (2009年2月24日発売)
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感想 : 4

一台のピアノができあがっていく様を実況中継しているような本。
ある意味妙な臨場感はあるんだけど、やっぱり図や写真が見たくなる。まったく写真はないのだ。
最終的に、追跡していたピアノは貸し出し専門のピアノになり、さまざまなアーティストに弾かれることになる。
表現が、英語独特の言い回しで読みにくい。ダッシュで後付で解説するスタイル。
新聞の連載記事だったせいかも知れないが、初めの頃はむりやり引き延ばしている感覚でイライラする。後半になるとスピード感が増して面白くなってくる。

P.68 ウィリアム・スタインウェイの日記を元に書かれている歴史の章。彼の妻の浮気についても細かく記述。

P.124 響板に使うスプルースは、以前は東海岸のイースタン・ホワイト・スプルースだったが、現在は西海岸クイーンシャーロット諸島産のノースウェスタン・スプルース。1フィート当たり7ドルもするそうだ。

P.158 スタインウェイとチッカリングの戦い。審査員の買収合戦。

P.168 1880年頃作られた 51257番は、カポダストロバーの位置がG3から上についている。そのせいで、変な倍音が共振しやすい問題があった。

P.184 響板加工中に工場が停電。工員の誰かが昼食前にサンドイッチを電子レンジにかけたせいだとか。

P.186 響板の形を、フレームの形にぴったり合わせるように加工する。そうすることにより響板のクラウンが維持される。

P.208 第2次大戦中、スタインウェイは軍用のグライダーの生産を行っていた。

P.210 GIピアノという軍用ピアノ。セルロイドのキーがつけられていた。その材木の残りは棺桶になった。

P.236 アクションのフランジに フェルトではなくテフロンを使う改善をしたことがある。ノイズの原因となりクレームの嵐。ただ今でもフェルトにテフロンを含浸させている。

P.239 鍵盤はドイツのクルーゲ社製。1990年代にスタインウェイが買収した。

P.289 ピアノにノイズがするので原因を探ると、響板の上にネジ。何人もの検査を通り抜けていた。

P.326 ニューヨークのホールにはスタインウェイと契約しているものがあり、スタインウェイからタダでピアノを借りている。調律をスタインウェイが行う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 音楽
感想投稿日 : 2011年8月10日
読了日 : 2011年8月25日
本棚登録日 : 2011年8月10日

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