春になったら莓を摘みに

著者 :
  • 新潮社 (2002年2月25日発売)
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本棚登録 : 734
感想 : 96
5

梨木さんがイギリスに滞在していた頃の(おそらく記憶をたどった)エッセイ。書かれる物語も大好きだけれど、不覚にもエッセイにうちのめされていちばん好きな本になってしまった。異国に滞在した人なら覚えのある、自分の場所でないところにいる居心地の悪さとそれにともなう少し静かな目線。その目で眺めるひとびとの営み、異国の風景と出来事としずかに心に沈殿していく困惑と理解。ここではない場所、にいて思索の海に溺れたことのある人はきっとすごく好きになっちゃう本だとおもいます。人間て善意にあふれててそして滑稽で愚かなあいすべき生き物だなあと静かに静かにひとり目を細めているような気分です。

『ぐるりのこと』もとてもよかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説以外の本
感想投稿日 : 2011年4月30日
読了日 : 2011年4月30日
本棚登録日 : 2011年4月30日

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