ローマの建国から東ローマ帝国滅亡までのローマ史を俯瞰し、共和政が滅び帝政という新たな政体が導入されるに至った原因を追求する著作。共和政ローマに対する高い評価――「ローマの政治は、その誕生以来、人民の精神、元老院の力、あるいは、何人かの政務官の権威によって、その国家構造が権力のあらゆる濫用を常に是正できるような働きを保っていた点において、素晴らしいものであった」――、共和政には分裂が必要であり、分裂のない共和政では自由が死んでいるというマキャベリを思わせる理解、しかし共和政に内在する拡大傾向が属州を獲得させると、駐留軍が有力者の私兵と化し、またローマの公民権が他の諸都市の住民に認められて祖国愛が失われた、そのために、内乱がきっかけとなって共和政が滅亡した、というモンテスキューのローマ史理解は、歴史考察にとどまらず、後に『法の精神』で結実する彼の制度論に直結していると見るべきだろう。
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- 感想投稿日 : 2016年4月7日
- 読了日 : 2016年3月21日
- 本棚登録日 : 2016年4月7日
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