怪人二十面相・伝 (小学館文庫 き 2-1)

著者 :
  • 小学館 (2008年9月5日発売)
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本棚登録 : 145
感想 : 22
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えーまあ予想はしてましたが、江戸川乱歩を超越できるほど素晴らしい文章を書ける人なんぞ、一握りもおらんわけで、そのつもりで読み始め、初段の「~した」「~した」という紋切り連発に既にガッカリとなる。また、作者が素晴らしいと勘違いしているらしい謎の繰り返しなど、小説としていかがなものかと思う表現が特に前半に多いのはいただけない。
さて、激しくネタバレになるのは覚悟の上で、江戸川乱歩のニ十面相を、この作家は「初代二十面相」としたいのか「二代目二十面相」としたいのかが、結局わからぬままである。乱歩の二十面相では、明智に小林だけでなく「戦後焼け出された孤児」が活躍するわけだが、そうすると小林少年は本作で矛盾となるわけである。この作者、少年がたいそうお嫌いなようで、子供の描写が短気で後先考えないあたりも残念。また、二十面相をはじめ、乱歩の小説における名物悪役というのは、概してインテリであり、キャラ作りで乱暴な言葉を発したりするギャップが素晴らしいのであるが、本作のニ十面相は、一貫して教育が足らず、言葉遣いもひどいものであり、乱歩の作品が好きな人は、まちがいなく幻滅するであろうことは先にお知らせしておきたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ
感想投稿日 : 2014年5月20日
読了日 : 2014年5月17日
本棚登録日 : 2014年5月17日

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