安部公房の一部ドタバタも含むSF中心の短編集。青年が突然、珍しい木「デンドロカカリヤ」に変化する。夜中に突然現れた見知らぬ家族によって家が乗っ取られるなど、わかりやすい恐怖から、世の中が知らぬ間に水の底になって、人間が人喰い魚に鳴ってしまうなど、常識の根本が覆されてしまうものまで、多彩な作品群。
様々な表現が文学的で、理解するのに時間がかかることを除けば、筒井康隆や小松左京を読んできた人にとっては、非常に面白い本と感じるであろう。特に気になるのは、作中人物の思考だと思って読んでいると、急に第三者の視点のような表現が織り込まれるところ。
こういう作品群から、現代文の問題を出されたら、絶対解けない自信がある。
それはそうと、いくら文学的な表現が多くとも、この本全部がエンターテインメントである。面白くて楽しくて恐い。おそらく作者も楽しんで書いていたはずで、そこを踏まえて、ついている解説が結構的はずれではないかと思うのだが、読まなきゃ良いんだな。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
SF
- 感想投稿日 : 2016年2月12日
- 読了日 : 2016年2月12日
- 本棚登録日 : 2016年2月12日
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