猫の舌に釘をうて (1977年) (講談社文庫)

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本棚登録 : 16
感想 : 2
5

あえて「実験小説」というジャンルにしてみたが、本筋はしっかりとミステリであり、殺人事件ものである。作家である主人公の手記という形で始まり、ひょんなことから殺人事件が「起こってしまう」。その真相を調べる主人公であるのだが、都筑道夫だけあって、素直に読ませてはくれない。出だしから「私が犯人というのも、今更使い古されている手法」などとかき回し、作中に頻繁に都筑道夫が登場して、メタな世界観で読者を冷ます。
このメタで冷める感覚が鼻につく人には、少々読みづらいかもしれない。普通はそれらも気にならないはずであり、冷まし具合も全般に適当である。
全般に、時代を感じさせない文章とストーリー展開で、作中に出てきた「1961年現在」という時代すら作中設定の話かと思ってしまうのだが、この作品が発表された年が1961年だというのだから、やっぱり都筑道夫は先進的である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 実験小説
感想投稿日 : 2014年7月10日
読了日 : 2014年7月6日
本棚登録日 : 2014年7月6日

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