ストーリーで考える「見積り」の勘所

著者 :
  • 翔泳社 (2008年3月1日発売)
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本棚登録 : 99
感想 : 10
5

本書はSIerの営業担当が案件をとってきてから、客先ヒアリング、社内打ち合わせ、問題の炙り出し、提案方法の検討、必要工数の算出までをストーリー仕立てで、わかりやすく書かれており、とても参考になった。

ストーリーに出てくるような「営業担当」、「PM」、「それぞれの上司」「ユーザ側責任者」のような理想的な役割分担ができていて、それぞれが自分の持ち分の仕事+αを行っているのだが、実際は、そう上手くはいかないことの方が多いだろうとは思った。

パッケージメーカー側の営業担当、システム担当も一読しておいて損はない。無茶なカスタマイズ案件を安価でSIerにふって、後々トラブルになってしまうようなことは避けたい。その意味でも非常に勉強になる。

■考えさせられた点
・日本のシステムエンジニアの中で、どれだけの割合の人が上流工程に携われるのだろうか。単なるPGでは、仕事がなくなるのは目に見えている。ソフトウェア業界自体を考えてしまった。
・適切な見積(金額・工数)をはじくことと、受注できることに相関関係があればいいのだが、実際はどうだろうか。安かろう悪かろうの選択を客側もしてしまうことが多いのではないか。

■良かった点
・無料のマインドマップツールやRFPテンプレートの紹介
・ヒアリング時に、事前に客にもアジェンダを渡しておくという発想
・ヒアリングおよび打ち合わせ時に、リアルタイムに情報を見える化するという発想
⇒プロジェクターがあるのであれば、マインドマップツール、なければ、ホワイトボード。ノートにメモをとって、持ち帰ってから議事録起こしは×
・『「システムに詳しい人がビジネスを勉強して、ビジネスにシステムを当てはめる」やり方のほうが近道ではないか。』(引用)
・RFP絶対主義ではなく、客の真のニーズをくみ取ること

■悪かった点
・書籍にする時点で、ストーリーの冗長な点を修正してほしかった。章ごとの人物紹介などは、整理してほしかった 。
・会話主体ではなく、描写も入れてもらえたら、もう少しすっきりしたと思う。
・誤字が多少ある。(これは編集側の責任か)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年9月19日
読了日 : 2011年9月13日
本棚登録日 : 2011年9月19日

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