「真実一路」も素晴らしい作品なのですが、読むたびに、この作品の主人公吾一のひたむきさに涙腺がゆるんでしまいます。
才能があっても、努力していても報われない世の中の不条理に対する主人公の静かな叫び。
こういう作品を読むにつけ、日本文学の素晴らしさを感じます。
で、ご存知の方も多いと思いますが、この作品は未完です。
昭和十五年に、著者が書くことをやめてしまいました。
社会に対する憤りを感じながらも、ひたむきに生きる姿が、「社会主義的」「自由主義的」と批判されたことにたいする、著者の答えでした。
文庫版では、著者の断筆宣言が掲載されています。
ひとつの時代の政治と文学を語るに欠かせない作品だと思います。
ちなみに、映画で吾一を演じているのは、あの赤い彗星です。
DVDも出ていますので、ガンダムファンにもオススメです。
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カテゴリ:
和書・文芸
- 感想投稿日 : 2013年3月26日
- 本棚登録日 : 2013年3月26日
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