新訳版。てっきり岩波と河出から出ていたものだと思っていたら、そうではなかった。
訳によって印象がかなり変わるのは翻訳ものの常だが、『運命の卵』は兎も角、『犬の心臓』はかなり印象が違う。個人的な好みを言うと河出版なのだが、本書はよりドタバタ感が増していて、終盤の犬がもたらす騒動の臨場感は新訳版の方が強かった。
また、訳注がマメについているのも、初めてブルガーコフを手に取った読者には親切ではないだろうか。
さて、本書収録の中編はどちらも『人為的に作り出されたものと、それに続くドタバタ』を描きつつ、当時のソビエト社会を強烈に風刺してもいる。そのせいで散々、発禁処分や上演禁止の憂き目に遭ったわけだが……。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年12月26日
- 読了日 : 2015年12月26日
- 本棚登録日 : 2015年11月26日
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