ハルムスの世界

  • ヴィレッジブックス (2010年6月20日発売)
4.13
  • (27)
  • (17)
  • (13)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 275
感想 : 40
3

アバンギャルドな不条理文学。
後半の「ハルムス傑作コレクション」には粛清の荒れ狂うスターリン時代の世相をイメージさせる短編が幾つかあって、これらは(当然ながら直接的に表現はしていないものの)物語としてイメージが伝わってきます。しかしこれらは体制の理不尽を表したもので不条理とは違いますし、数もごく僅かです。
その他の大半は、特に前半の「出会い(ケース)」は1~3ページの不条理ショートショートです。それも不条理(非論理的、因果関係欠如)を物語で表現するのでは無く、不条理そのものの文章化です。何の脈絡もなく人が死に、足をもがれ、執拗に文章が繰り返され、極めてシュールです。
この作品を読んだ多くの人たちが高評価を与えています。また"ユーモア"とか"笑い"があると書かれています。しかし私はダメでした。
この作品のユーモアが判りません(笑える所もありましたがごく僅か)、またほとんどが"判らない”と言うのが素直な感想です。おそらく"感じる"べきところを"理解"しようしてしまう読書姿勢が間違いなのでしょうが。

しかし、著者が言いたいのが
・この世は不条理である
・言葉は人に何かを伝えるのに適切で道具はない
という事なら、なぜこんなに多くの作品を残さなければならないのでしょう。
(そんなことを考えるのがそもそも間違いなのでしょうね)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 一般
感想投稿日 : 2017年10月16日
読了日 : 2017年10月16日
本棚登録日 : 2017年10月16日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする