情報なき国家の悲劇 大本営参謀の情報戦記 (文春文庫 ほ 7-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (1996年5月10日発売)
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本書は太平洋戦争時、情報参謀であった著者が、情報という観点から我が国が敗北を喫っするに至った要因を分析した本である。
実体験を元にした分析は非常に生々しく、文中に頻出する著者の悔恨の念は戦後70年を経てもなお胸を打つ。

日本軍の敗因は国力判断の誤り、制空権の喪失、組織の不統一、作戦第一・情報軽視、精神主義の誇張の5つだ。
対中対ソを重視するあまり対米情報収集を怠り、いざ開戦となれば制空権を奪われて戦場での情報収集が出来ない。最前線の兵士の犠牲を元に得た情報も軍部内で組織的に運用する仕組みが無く活用出来ていない。それどころか精神主義に染まった軍では情報を軽視し、その活動を阻害することになってしまっていた。

恐ろしいのはこれは過去のことではなく、今の日本社会でも感じ取れることだ。本書を参考に「情報こそ最高の戦力」という言葉を胸に刻もうと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2017年2月27日
読了日 : 2017年2月27日
本棚登録日 : 2017年2月26日

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