人でなしの経済理論-トレードオフの経済学

  • バジリコ (2009年4月3日発売)
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感想 : 23
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本書の面白いところは、あるものに対してトレードオフ的な視点で考えるときに、軽妙な語り口を交えたうえで「これはこうだよ」までで費用や便益についての見極めを止めている点で、決して○○はこういう点で良くないから別の選択肢を選ぶべきだ、と押し付けをしていないところ。
要はあくまでもトレードオフ的な思考のための入門書なのであって、そのための人でなしな思考を身に着けるための訓練をさせてるのが目的なところかなと。
それは結局、人でなしになれ、ではなくて、あくまで公正な判断を下すためには人でなしな視点からも物事を見る必要があるということ。

本書を読んでいると、随所に散りばめられたトリックや自分の楽観性も相まって、いかに主観的な判断ばかりで理論的なトレードオフ思考が身についていないかを思い知らされる。

道徳心をもって市場に臨むための価値基準を設けるためにも、本書により学べることはたくさんありそう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 学問
感想投稿日 : 2013年8月23日
読了日 : 2013年8月23日
本棚登録日 : 2013年5月2日

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