一部のノリの良い下級武士出身者がフィーリングで運営していた明治政府がいかにテキトーであったかがわかる本。
一例を挙げると、各地に贅を尽くした高そうなお庭を作りまくった長州の山縣有朋さんは、やっぱり汚職しまくってるし、権力主義の成りあがりだったっぽい。
この巻は、西郷隆盛さんが征韓論で下野したあとに不平士族を慰安すべく台湾に乗り出した顛末記でした。
なので、西郷さんは全然出てきません。
メインは大久保利通さんの巻でした。
西郷隆盛さんの征韓論は潰したくせに、その弟の従道さんをトップに台湾に押し入る(名目は遭難した琉球人が台湾の高砂族に殺されたことに対する報復)だなんて、支離滅裂な政権運営がよくわかる巻だったよ。
日本は対外的には国際常識を知らない粗暴なガキの国だと思われ、対内的には不平士族の不満が今回の征台論の顛末でますます膨れ上がり、まさに「内憂外患幕末よりヒドいんじゃない?」状態になっていました。
まぁ、司馬史観に関してはいろいろ言う人もいるけれど、資料を精査したうえでの一説と考えれば良いと思います。
九州に石高の大きい大名が多いのは薩摩島津を押さえるためで、特に隣国の熊本はそのために54万石だったとか(それでなければ熊本城もなし?)
世界の紛争種まき国家のイギリスが、征韓論に関しても自分たちの利権がある清に手を出されたくないので協力するよとススメてきたとか…。
いろいろお勉強になるなぁ!
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史小説
- 感想投稿日 : 2016年10月21日
- 読了日 : 2016年10月27日
- 本棚登録日 : 2016年10月21日
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