スポーツ遺伝子は勝者を決めるか?: アスリートの科学

  • 早川書房 (2014年9月25日発売)
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感想 : 17

真壁和裕先生(総合科学部環境共生コース)ご推薦

小太りでパーマ頭の八百屋のオバチャンが実は物理学の天才で,もしその道に進んでいたらノーベル賞も取れていたのだ…という相原コージの4コマ漫画がある。人は何かしらの才能をもって生まれてくるが,それに気がつかなければ宝の持ち腐れだというオチなのだが,ハイレベルなスポーツの世界はまさにそんな話の宝庫である。ずっと芽の出なかった三流選手が別の競技の目利きのコーチに発掘されて,練習などしていないのにいきなり世界記録を塗り替えたという話も少なくないが,競技によって重要な資質は様々である。野球では視力が重要だったり,バレーボールではコントラストに対する反応性が決め手だったり,バスケでは手足の長さが大切であるのに,水泳では胴が長い方が有利だったり…。一般人の私たちは,トレーニングの量と質の方が…と思いたいところだが,トレーニングに耐える性格もまた遺伝的な才能だと言われると,なかなかつらい(苦笑)。しかし,サッカーを選んだら挫折したかもしれない子供が,遺伝子検査でカヤックを選んで金メダリストを目指せるなら,そんな愉快なことはない。

読書状況:未設定 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2015年7月6日
本棚登録日 : 2015年7月6日

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