理想だらけの戦時下日本 (ちくま新書 1002)

著者 :
  • 筑摩書房 (2013年3月1日発売)
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本棚登録 : 151
感想 : 20

「日本を取り戻す」って「どの日本を取り戻すの?」というツッコミはナイス。「そんなアンタの理想の日本なんてどこにもないのでは?」という問題提起から戦時下の日本人の生態を検証。当時既に家族共同体や地域共同体もなくなっているようだし、皆それなりに自由気ままに暮らしてしたらしい。「国民精神総動員運動」があまり機能しなかったのは、日米開戦前だし、当時の人々にもあまり危機感とか切迫感もなく、モノや娯楽を追い求めたんじゃないのかなあという印象。
資料として読む分にはそれなりに参考になるのだが、少々引っかかるのは著者が現代との類似性からいろいろと提言している点。経済成長して上方平準化ってのは現実的には無理だろうし、する必要もあるのかと。もうこれだけモノが溢れている現代においては大衆消費社会は終わってるし、格差社会といいつつ、モノには十分満たされているし(世代格差はなくすべきとは思うが)。逆に言えば、モノより心(精神)に向かい易くなっているとも言えなくもなく、その風潮を都合よく利用しようとする政治・宗教・企業・その他勢力が増大する事は危惧しなきゃいけないとは思うが。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2014年2月19日
読了日 : 2014年2月19日
本棚登録日 : 2013年12月16日

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