____________
わたしの目の前にある本は、不要不急の書物だ。話題の著者でもなければ注目の本でもない。もしかしたら、日本人の中では、わたししか読まないかもしれない書物だ。わたしは午後のけだるい風に身をまかせながら、書物に目を走らせる。カーテンがゆらぎ、一陣の微風が頁の上を走る。わたしのほかにはだれもいない。
まったく、何という至福だったろう。わたしは自分が目先の役にはまったく立たないことをしているというぜいたくな喜びで満たされていた。自分が研究者になったのはこのためだったと思えるほどの喜びだった。 (p.49)
_________________________
・・・・・・・研究者になりてぇ
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2010年1月27日
- 読了日 : 2010年1月19日
- 本棚登録日 : 2010年1月19日
みんなの感想をみる