ヒタメン  三島由紀夫が女に逢う時…

著者 :
  • 雄山閣 (2011年12月9日発売)
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感想 : 9
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「見出された恋」のドキュメント版。岩下さん独特の文章は、戦後の花柳界そして歌舞伎界を中心とする文化を彷彿とさせて味わい深い。往時の一流どころの雰囲気がそこはかとなく感じられ、知らないのに懐かしい思いもする。
人は育つ環境によって人格形成されるという当たり前のことを思い知る。シロウトでもクロウトでもない赤坂の一流料亭の娘の若き日の思い出は貴重な昭和史であり、三島由紀夫への造詣も深まる。岩下さんの「仮面」解釈は卓見である。
イマどき、毎日のように新しい着物や帯などを作らせるなどという破天荒な金遣い、それをきわめて自然にできる娘などいないだろう。局地的な地域の麗しい時代を彷彿とさせる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 生活・文化
感想投稿日 : 2013年6月25日
読了日 : 2013年6月25日
本棚登録日 : 2013年6月25日

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