文京区に住まう5人のママ友が、小学校お受験を前に、些細なことで葛藤、嫉妬…。少しずつ歯車がかみあわなくなってきて…というドロドロストーリー。
1999年に起きた、「お受験殺人」とも呼ばれた文京区幼女殺人事件をモチーフにしているそうです。こんな事件が実際にあったのかと思うと、戦慄…。
http://www.cyzowoman.com/2014/11/post_14079_1.html
①「ママ」という共通項の不思議さ
「ママ友」って、
「ママ」という、とても広い、でも同時にとても強い共通項でつながるけれど、
その後に付き合ってだんだんとわかってくる、
生活水準=価値観が決定的に違う場合は、結構しんどいと思う。
子どもが関わることだからなおさら。
女の人だからなおさら。
子どもが関わるし、
女の人たちだから、
つながりやすさはあるんだけれど。
②子どもは圧倒的に弱い存在
私もママなので、読むのがしんどかった。
自分の子どもへのイライラとか、
友人への子どもに対する暴力とか、
そういうシーンは胸がえぐられました。
子どもには何の罪もないわけで。
自分の子ども殺しちゃったとか、誘拐して殺しちゃったとかいう事件が実際にあるけど、
あんなに弱い存在をよくどうこうできるなと。
「子どもは未来だよ」とおじいちゃんやおばあちゃんがよく言うけど、
本当にその通りだと思うし、大人が守られなければいけないよね。
この本(また、実際に起きた「お受験殺人」)では、
自分の弱さを守るために、憎むべき相手ではなく、相手にとって一番ダメージの大きく、また一番弱い存在である相手の子どもを殺めてしまったわけです。
やり場のない気持ちになる。
③すさまじい文京区のお受験
私は「お受験」とは無縁の世界で生きてきて大人になったので、
それがどういうものなのか、この本や「お受験殺人」に関する記事を読んで知りました。
(…といっても、それも「お受験」の世界のほんの一部だろうけど)
小学校教員をつとめる友人曰く
「東京で言えば、やっぱり文京区が一番。あとは港区とか中央区とか。学力は家庭の収入に多少比例するよね」とのこと。
昨年まで私は文京区で働いていたのですが、
ランチで外に出ると、それこそママ友の集団が数人で優雅にランチをしている光景にしばしば出会いました。
そしてそれはもう、お受験の話でよく盛り上がっていたのでした。
「あそこの塾がいい」とか
「あの先生はよくない」とか
ときどき
「うちの子は○○が結構得意でね」とか
子どもの自慢を織り交ぜながら。
こんなドラマみたいな世界が本当にあるんだな…とよく思ったものです。
専業主婦で子どもにお受験させるなんて、私とは180度価値観が違う。絶対無理。
特別な理由がない場合は「ママも働いた方が絶対良い」というのが私の価値観です。
この本に出てくるママ友の5人の共通項は「専業主婦」ということ。
アルバイトであれパートであれ、絶対社会に属していた方がいい。
じゃないと世界が狭くなる。
子どもや旦那にばかり目がいってしまう。
「ママ」で「妻」というだけのアイデンティティはさびしすぎる!
…というのが持論です。
私だったら、子どもや夫の些細な言動にもイライラしてしまって、絶対精神崩壊する…と思います。
反感回買いそうな文章を書いてしまった…。
女の人は優秀だから、家にいるだけではもったいないと思う。
そのスキルをぜひ社会に貢献してほしいな、とも思うわけです。
ひよったフォロー…。
でも本当にそう思います。
④鈴木成一さんの装丁がとてもきれい!
写真しかり、テキストの配置しかり、
大きくのばして部屋にかざりたい表紙です。
- 感想投稿日 : 2017年8月14日
- 読了日 : 2017年8月14日
- 本棚登録日 : 2017年8月14日
みんなの感想をみる