名画に隠された「二重の謎」: 印象派が「事件」だった時代 (小学館101ビジュアル新書 23 Art 8)

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  • 小学館 (2012年12月3日発売)
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今年のべスト。

オルセーに入っているような近代画家(=印象派前後)の9人の画家を取り上げ、技法をベースに作家の真意に迫っていく。

マネは署名から、アングルは腕の可変性から、クールベは少年の絵画への挿入から、ドガは、情感のないマネキンから、ボナールは鏡という客観性+別世界から、マティスは窓という異界への入り口から、ゴッホは、じゃポニズムへのあこがれと模写の西洋文化の反映から、スーラは絵画内の縁取りから、セザンヌは現実離れした構図と色彩の調和の手法から、それぞれの意図を読み解く。近代美術はどちらかというと技法的なものと思ってむしろルーブルに入っているような伝統的モチーフの方がその制約のなかでどれだけできるかという観点から面白いと思っていたが、近代絵画もそれとは異なる幅広さと奥深さがある。

印象派及びその前後の派は単なる写真に対するアンチテーゼだと思っていたが、考えが浅かったことを痛感。平面に考えを映し出すということに紳士に向き合い始めた時代だということを理解した。ボナールがこんなにすごいがかとは知らなんだ。セザンヌもするめとしか言いようのない味わい深い画家ということを認識。マネは職人でありながらそれ以上の働きを残した偉大なる印象派の先陣という教科書通りの認識を深く認識。

マネ、アングル、クールベ、ドガ、ボナール、マティス、ゴッホ、スーラ、セザンヌ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 美術
感想投稿日 : 2013年3月8日
読了日 : 2013年3月8日
本棚登録日 : 2013年3月8日

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