地獄で見る夢

著者 :
  • 徳間書店 (2012年1月18日発売)
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本棚登録 : 50
感想 : 7
3

優しい煉獄シリーズ三巻目。ちょうど前巻を読み返している時に三巻が出たという情報を知ったので運命的なものを感じた。
前回が短編であったのに比べ、今回は長編。また、今までは新書サイズで出ていたのだが、今回は単行本(ソフトカバー)である。
あらすじは、いつものごとく探偵事務所に依頼が舞い込んできて…という流れなのだが、今回は舞い込んできた2つの依頼が互いに関係していたという話だ。
依頼人吉田氏が知りたがっていたブティック、捜索対象の鳥飼亮が居る場所、これらは密接に関係し、探偵はある街へと連れ出される。
そこはなんと「殺人」が許可された場所であった。その街ではプレーヤーがターゲットを殺すために活動し、探偵には鳥飼亮を守るようにと依頼をされる。
彼らは何のために殺しあうのか、この街の実態は何なのか。そのような謎は出てくるが、この小説自体にはそこまで盛り上がりなどはない。
それは、この探偵は自分に出来ることだけをしているだけだからだ。あくまでただの電子データ、金も権力もない探偵に出来ることは少しの皮肉でも言うことくらいだ。
「探偵が依頼をこなす」この小説を一言で言うとこれに尽きると思う。単純で特に捻りもない、ただそれだけをやるのがこの探偵の仕事であるのであろう。

今回シリーズ初の長編であったのだが、個人的にはこのシリーズは短編の方が向いていると思う。なぜなら、この世界、この探偵は盛り上がるということがないからだ。
細々と依頼をこなしていった方が性にあってそうである。だからシンプルな短編の方が合っていると思う。
また、再読した時に印象が変わるのではと思う。その時に再びレビューでも書きたい。続編には大いに期待しているが、出るのは早くても数年後であることだろう。
探偵、優月、ユリア(猫)など魅力的な人物が街を歩きまわる姿が是非ともまた見たいと思う。

余談ではあるが、タイトルに優しい煉獄とつけて欲しかったと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2012年1月25日
読了日 : 2012年1月24日
本棚登録日 : 2012年1月25日

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