孔子の死後30数年後、隠遁生活を送る弟子が、孔子研究会の人々に、孔子と過ごした日々を語るという設定です。ちなみに弟子は、「えんきょう」というのですが、井上靖さんが設定した架空の人物だそうです。
まだ論語は編纂されていない時代で、おそらくこうやって孔子の言葉や伝記が集められていって、論語が出来上がっていったのだろうと思わせる場面設定が面白いです。孔子と弟子たちとの強い絆や、のちに論語で有名になる孔子の数々の言葉の背景が次々と語られます。井上靖さんの孔子や論語に対する熱い思いが表されているのでしょう。
論語というと、なにか世の中でうまく出世するためのテキストという印象があって、どちらかというと苦手な部類に入っていたのですが、本書を通して、孔子の人間的な魅力も知り、少し印象が良くなったかも。他の論語関連の作品も読んでみたいと思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2017年8月14日
- 読了日 : 2017年8月11日
- 本棚登録日 : 2017年8月14日
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