目から鱗の一冊でした。憲法というと、すぐに第9条とか基本的人権がとか、個別の内容を思い浮かべてしまいがちです。しかし本書では、欧州における国家、議会政治、民主主義の成り立ちや、資本主義を生んだプロテスタントの宗教観を紹介しながら、その中で権力を抑えるものとしての憲法の必要性をわかりやすく解説しています。
憲法があるのに独裁者を生んだナチスドイツの例、太平洋戦争に走った日本の例は、憲法だけでは抑えきれない権力の力や民衆の空気の恐ろしさを伝える好例です。さらには戦後日本においては、官僚が国を動かし、マスコミが空気を醸成することで、民主主義が機能しなくなっていると警鐘を鳴らしています。
分厚いけれど読みやすい。しかし、本書に含まれている内容は広く深いものがあります。ここまでハッキリと断言されると、なるほどなと思いつつ、考えさせられる内容も多い。何回も読むといいのでしょうし、また、憲法や民主主義を考える良いきっかけになる一冊だと思います。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
社会
- 感想投稿日 : 2013年10月22日
- 読了日 : 2013年10月21日
- 本棚登録日 : 2013年10月22日
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