勉強の哲学 来たるべきバカのために

著者 :
  • 文藝春秋 (2017年4月11日発売)
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本棚登録 : 3202
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ものすごいわかりやすい文章を追っていくうち、なんだかよくわからない混乱がやってきますが、でも、一方で感覚はわかるわかるモードに入っている、そんな読書でした。本書の中でもピエール・バイヤールの『読んでいない本について堂々と語る方法』を引き合いに、読書は完璧にはできない、と言ってくれて、その布石を打ってくれていたりします。わかる感じ、というか沁みてくる感じなのはアイローニー=ツッコミ=深追い、ユーモア=ボケ=目移り、のあたりから。正解を求めようとする完璧主義が、決断主義を生み、それが他者との共存を許さない不寛容となり、無限に多様性を追い求めるコレクションが、先延ばしを生み、それが非当事者意識となる、なんか、いまの社会の気分の見取り図として、ものすごく腹落ちしました。そのための処方箋が「仮の有限化」。アイロニーからユーモアへ。ユーモア的な有限化へ。比較を続けながら比較を中断する、ということが考え続ける、ということ。それが勉強を続けるということ。答えのない時代(答えがある時代があったか、どうかわからないけど…)の生き方としてなんかグッと来ました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年1月12日
読了日 : 2018年1月12日
本棚登録日 : 2017年5月1日

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