作家いしいしんじが、「場所」について語る。直島、高野山、大阪、天草、東京、ニューヨーク、熊野、そして京都。住んでいた町、住んでいる町、住むかもしれない町。
僕にとって、いしいしんじは「けったい」な人です。最大限の誉め言葉としての「けったい」です。東京に住んでいた頃の破天荒な行ないから受ける表面的な部分のみならず、見るもの聞くもの全てのものが、いしいしんじを通してけったいなものへとなるのです。訪れた町で偶然が重なり、縁を介して必然となる。そのためには縁を捕らえるアンテナが必要となり、いしいしんじのアンテナは常任に捕らえられない周波数のものまで受け取ってしまうのでしょう。
一文が実に濃厚で、咀嚼して飲み込むのに時間が掛かります。しかし一度体内に取り込んでしまうと、じわりと浸透していきます。このじわりが心地好いんですね。読み終えた今も、体内をじゅわじゅわとうごめいています。
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- 感想投稿日 : 2014年12月18日
- 読了日 : 2014年12月18日
- 本棚登録日 : 2014年12月9日
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