金融資産は今すぐ現金化せよ (ベスト新書 208)

著者 :
  • ベストセラーズ (2008年12月9日発売)
2.93
  • (1)
  • (2)
  • (8)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 30
感想 : 5
3

なかなか刺激的なタイトルで最後の一文でも

旧来型の金融資産をお持ちなら、いますぐ「現金化」した方がよい。・・・あなたが見ていた風景はもう見られない。

とあるが内容をよく見ると

なにもそのまま現金で持ち続けなさい、といっているわけではない。
来たるべき投資のチャンスに備えて、いまは現金化して金融マーケットから一時避難しておけばいいのだ。P.17

焦る必要はない。いまはおカネを休ませるタイミングである。P.204

など派手なタイトルの割に完全否定しているわけではない事がわかる

ちなみに文中で批判されている投信とは「クソソブ」(グロソブ)を筆頭とした毎月分配型の高コストの投信のようでファンドの純資産総額ランキングの上位を占める似たような毎月や隔月分配型を「ニセソブ」や「エセソブ」と批判しているあたりは清々しさも感じられます

ただ細かい部分では同意しかねる所もあってデリバティブ・証券化商品などの複雑系の危うさはわかるが株式・債券・為替などの単純系を全否定してしまうと現代社会の文明そのものを否定してしまうと思う
これらが焼け落ちた時とは文明崩壊なわけで複雑系より先に単純系は長い長い低迷期を抜ければ新たな景気が形成するし循環されるものである

筆者は債券安・株安・円安の「トリプル安」で日本の財政は破綻になり永田町や霞が関の中枢にいる人間はみな知っているP.109・・・とあるが経済オンチな法学部出の輩にわかるわけがない
そもそもトリプル安がこの下降相場の中で起こるかどうかも疑問である
08年を見ても株安は当然として債券価格はプチバブルを感じさせる上昇を見せた為替も円キャリの逆流も一服感を見せるが流れ的には円高傾向となっています

P.190には著者の考えるハッピーシナリオで

派遣社員の労働条件を変えるだけでいい。
彼らはもともと貯蓄志向が低いため、余分なおカネは消費に回る。
それが内需を拡大し、日本経済は立ち直る

とあるが何ともおめでたい理論に感じる。派遣社員の消費感覚は安定した正社員より間違いなく低いだろうし余分なおカネなどどんなに労働条件を変えたって出てくるはずがないでしょう?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス・金融
感想投稿日 : 2011年12月23日
読了日 : 2009年3月1日
本棚登録日 : 2011年12月23日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする