世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

著者 :
  • 新潮社 (2005年9月15日発売)
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本棚登録 : 3565
感想 : 318
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読み始めてすぐに感じた印象は「安部公房」版「灰羽連盟」。でも、正しくは灰羽連盟が「安倍吉俊」版「世界の終り」。ついでに言えば麻枝准も影響を受けたと言っているのでAngel Beatsが「麻枝准」版「世界の終り」らしい。好きな物の源流を突き止めたら思ってた以上の大物だった。

村上春樹の本は短編も含めて3冊目。今までは感じなかったけど、この本からは安部公房の香りを随所から感じた。主人公の理屈っぽい思考・意識、登場人物の醸す不思議な存在感、そして不条理な世界と理系的ストーリー展開。自分が高校時代から惚れ込んだ安倍文学の世界そのものだった。加えて村上春樹特有の音楽のエッセンス。カンガルー・ノート以来、読書の習慣をなくした自分が再び読書を再開し、この本に巡り会えたのは本当に幸福だと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2014年9月21日
読了日 : 2014年9月21日
本棚登録日 : 2014年8月12日

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