東京散歩

著者 :
  • 扶桑社 (2009年1月24日発売)
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 「森ガール」 パッと頭に浮かんだ。最近話題が集まっている「森にいそうな女の子」のことだ。自然素材のシンプルなゆるい服を着ているような女の子を、ライフ・スタイルも含めてそう呼んでいるみたいだ。たとえば、ブレンディCMでの原田知世や、アフラックの宮崎あおい。あんな感じ? 私はそう受け取っているけど大丈夫かな。本書の著者・雅姫(Masaki)さんは、モデルでデザイナーだそう。私の目にはそんな森ガールの大人版に映った。本書はサイズが257×162と大きめ。だから、写真もはえる。きれいで、見ているだけでいろんな想像が巡る。案内してくれるところは、やはりほのぼのとゆったりした雰囲気に満ちている。ゆるさ、懐かしさ、ときめき感、ナチュラル感がいっぱいに漂っていて、とっても愉しい。スワンボートが浮かぶ大きな池のある公園。北欧生まれのモダンな器が並んだ雑貨屋さん。マクロビオティックのカフェ。天然酵母、国産小麦を使ったパン屋さん。パリに本店のある、日本直営店の生活雑貨屋さん。フランスものの古着屋さん。ママの作ったタルト屋さん。若者の街横にある神社の骨董市。まっ黄色に染まった銀杏並木。現代作家の陶磁器。大福。どらやき。串団子。フランスから来た紅茶専門店。マリー・アントワネットの部屋で供されるマカロン。卵3個使った清楚なオムレツ。真っ白なテーブルクロスの洋菓子舗。紫陽花の紫のグラデーションが鮮やかなお寺。ぶ厚いホットケーキ。こういう本は、ほんとにいいなぁ〜。頭の中はいつの間にか自由気ままな散歩を始めている。それでもあえて残念なところを挙げると、紹介されている店の半分くらいは他でも頻繁に紹介されている店だったこと。本書の構成や選んだエリアも、どなたかの散歩本にかなり似ている。でも、仕方ないかもしれない。似たようなライフ・スタイル志向の女性が選べば、何でもあるという東京であっても、気付けば同じ店っていうことはあるのだろう。だから、逆に見れば、多くの本で紹介されているエリアや店は要チェックということになるのかもしれないなぁ。若者たちの住みたい街が東京に集中しすぎないように、著名な方々やディベロッパーは「東京郊外もこんなにお洒落で愉しいよ」っていう、一過性でないライフ・スタイルをさりげなく紹介、提案する本も作れないものかなぁと思ったりもした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 散歩と自転車ポタリング
感想投稿日 : 2009年11月9日
読了日 : 2009年11月9日
本棚登録日 : 2009年11月9日

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