戯曲を映画化しているので、舞台は、アパートの一室とエレベーターホールの空間だけ。その中で、2組の夫婦が、約80分の「おとなのけんか」を繰り広げる。
もうちょっと舞台の枠を超えた演出があっても良さそうだと思ったが、出演しているのが主役級の俳優4名だけあって、彼らの言葉の応酬だけでも飽きは全くこない。
しかし、何と言ってもハイライトは、セリフではなく、ケイト・ウィンスレットがジョディフォスターが大切にしているココシュカの絶版画集の上に、嘔吐してしまうシーン!
再購入不可のレア本だけに、ジョディの反応も見ごたえ十分。
二組の夫婦が、子供の(暴力が絡んだ)大喧嘩に対して、紳士的に議論していたのが、段々、本音が炸裂し、最後は、夫婦間の喧嘩にまで発展し、いがみ合う様は凄まじい。
携帯電話を使って仕事ばかりしていて家庭を顧みない夫にぶち切れたケイトウィンスレットが夫の携帯電話を花瓶の中に投げ込んだり、客人のために購入して飾ってあった花瓶の中のチューリップまでもめちゃめちゃにしてしまうのには、吃驚!衝撃!痛快!
英女優なのに完璧な米語を話し、最初は一番「お品の良い」キャリアウーマン風だったのが、汚れ役をも見事にこなし、全体的に、ウィンスレットが「意外」度では勝っていた。
ロマンポランスキー監督がアメリカ入国出来ないため、舞台はNYブルックリンのアパートの設定だが、実際の撮影はパリでおこなわれたという。
ちなみに、映画の原題のCarnageは虐殺の意。原作はフランス語で、Le Dieu du carnage (God of Carnage).
- 感想投稿日 : 2014年12月8日
- 読了日 : 2014年12月7日
- 本棚登録日 : 2014年12月7日
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