ゴッドファーザー PartIII <デジタル・リマスター版> [DVD]
- パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン (2012年3月10日発売)
業の深さと孤独から最後の最後まで逃れられなかった男の哀しい末路が胸にくる、名作映画三部作の最終章です。
アメリカでもっとも巨大なマフィア組織の二代目首領でゴッド・ファーザーと称される老境のマイケル・コルレオーネは、非合法ビジネスと決別して合法ビジネスのみで「ファミリー」を守れるようになろうと腐心していました。
それは、彼の若き日からの宿願でもあり、父ヴィトーとの誓いでもあったのです。
しかし、彼にもすでに老いの影がさし、持病にも苦しむ身。
はからずも父の跡を継いだ自身のつらい体験もあったのか、実の息子や娘は「ファミリー」のビジネスから遠ざけていたことと、あるきっかけから、血の気は多いが度胸はある、長兄ソニーの私生児で甥のヴィンセントを後継者候補とすることになります。
しかし、敵対組織との抗争は、ローマ法王庁内部の陰謀ともからまり合いながら激しさを増していく。
そしてそれは、結果的に、マイケルがもっとも守りたかったものをもっとも残酷な形で彼の眼前で奪っていき…。
物語の最後、狂ったように慟哭し、そして、孤独に生を終えるアル・パチーノ演じるマイケルの姿は鮮烈な印象を残します。
三部作を通して観ると、まだ若き日の、家業に踏み込む前のマイケルの純真さや、「ファミリー」(この言葉には「家族」と「マフィア組織」の二重の意味がある)のために修羅の道に踏み込んでしまってからの苦悩や葛藤、彼が何より愛し守ろうともがき続けて結局は失ってしまったものの重さなどが、頭に次々と浮かんできて、哀しみがどっと胸に押し寄せてきました。
実に印象的でよくできた作品だと思います。
ただ、パート1、2の公開から二十年近くが経過していることでコッポラ監督の手法が少なからず変化しているためなのか、もっと別の事情があったのか、パート1、2の魅力の一つであった、哀愁を誘う陰影や空気感、象徴的な演出がほとんど無くなっている点はとても残念でした。
- 感想投稿日 : 2017年5月22日
- 読了日 : 2017年5月22日
- 本棚登録日 : 2017年5月22日
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