下巻では、法然の思想形成後の経歴と、後世への影響が論じられています。
法然は、源信の『往生要集』を論理的に分析すると同時に、彼自身の思想を強く読み込もうとしました。それが、念仏において「観念」よりも「称名」を重視する発想です。こうした法然の強い信念は、『選択本願念仏集』にも見いだされています。
声を上げ、名を称えることが念仏の要だと強く主張した法然は、叡山を下りてみずからの思想を広く世間に問う生き方を選びます。
著者は、その後の法然の受難の背後に、天台座主を務めた慈円と、その兄で法然のもとに帰依した九条兼実の対立があったとする見方を提出しています。
末木文美士の「解説」では、本書の魅力と従来の研究との違いについてのわかりやすい説明があり、たいへん参考になります。
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カテゴリ:
宗教
- 感想投稿日 : 2014年12月22日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2014年12月22日
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